青少年赤十字とは?

赤十字は、「いかなる状況下でも、人間のいのちと健康、尊厳を守る」ことを使命として掲げ、活動を続けています。どの時代においても、またどのような社会にあっても、人道の実現を目指す活動は普遍的なものであり、できる限り多くの人が赤十字活動の推進力となることが目的達成には欠かせません。
これからの社会にもまた、厳しい局面がいくつも待ち受けていることは想像に難くないでしょう。しかしその時の社会の担い手が、「自他の生命を尊重する」という人道的価値観を身につけて行動をとれば、難局を乗り越えることができる、この思いが青少年赤十字の根底に流れています。
「やさしさ」や「思いやり」を引き出し、育てるという青少年赤十字の役割は、豊かな人間性とともに「生きる力」を養うという教育の使命と分かちがたいものであるとの考えから、子どもたちの学びの場である学校に組織され、それぞれの学校の教育方針に基づいて活動を展開します。
目指しているもの
この目的を具体的な活動に結びつけるために、青少年赤十字では「健康・安全」、「奉仕」、「国際理解・親善」という三つの実践目標を掲げています。
また、社会の一員としての自覚を成長過程で体得する必要性を重視し、生徒・児童の主体的で自立した態度を養うために、「気づき」、「考え」、「実行する」という態度目標も掲げています。
青少年赤十字の起こり

第一次世界大戦のさなか・・・
カナダやアメリカの児童・生徒たちが赤十字の仲介により、先生の指導のもとに、戦場の兵士に慰問品を送ったり、兵士の留守家族へ支援したり、病院で使用する患者用衣類や包帯巻きなどの援助を行ったりしたことに始まります。
アメリカでは、「児童が自発的に奉仕活動を実践することは戦時に限らず、平時にも継続されてよい」と終戦後も児童、生徒たちによる奉仕活動が続けられました。
戦時救護に加えて、平時における健康の増進などの分野に赤十字の力を発揮するため、大正8年(1919年)各国赤十字社の連合体として、赤十字社連盟が創設されました。
そして、大戦下での児童・生徒の活動がヒントとなり、大正11年(1922年)第2回連盟総会にて、青少年赤十字の創設が決議されました。
日本では100年近くの歴史あり!
日本においても、同1922年に「少年赤十字」として発足しました。大正12年(1923年)関東大震災での被災者に対し、食糧支援や文房具支援をしたことが最初の活動と言われています。
その後、主な対象は小学校5・6年生から中学校、高等女学校、青年学校にも拡大し、昭和23年(1948年)に現在の「青少年赤十字」へと名称が統一されました。
特徴・指導方法

青少年赤十字では、子どもたちが赤十字の基本理念である人道的価値観を身に付けて、主体的に行動できる、自立した個人として成長することを願っています。
そのような人間として成長するための「自立への手助け」が教育の機能であり、その教育効果をより良く達成するために、赤十字と先生方が共に生み出し育んできたものが、青少年赤十字の特徴的な指導理念です。
<特徴>
●学校内、幼稚園、保育所に組織されます。あくまでも先生や保育士が指導者です。
各教科や道徳、いじめ防止の取組、安全教育、特別活動、総合的な学習の時間など、学校の裁量で、学校教育のあらゆる部分に落とし込むことができます。
●JRCは世界的・全国的な組織です。
世界の190カ国以上の姉妹赤十字社で組織されています。
国内、海外のメンバー同士の交流も赤十字だからこそ!
●加盟に伴う義務・制限は、一切ありません。
それぞれの教育方針に基づいて、自主的に青少年赤十字を採用し、実践します。
また、加盟登録や継続するうえで、経費は一切かかりません。
提供プログラムは無料です(資材貸出し時の返送費・資材購入時は除く)。
<指導方法>
●「自立への手助け」ができるよう特徴的な指導手法を採用しています。
名称 | 内容 | 例 |
---|---|---|
ボランタリー・サービス(V・S) | 奉仕活動。ニーズを発見し、自分の利益を求めない自発的な行動により、問題解決を図る。 | 身の回りの清掃、靴を並べる、募金、生き物の世話 |
先見(せんけん) | 先を見通した考えや行動をすること。 | 5分前行動、注意深い生活態度 |
指示のない生活 | 他人に指示されて行動するのではなく、必要な行動を自発的にとること。 | ノーチャイム運動、掲示板での情報伝達、合図のない生活 |
待ちの姿勢 | 自らが問題点に気づき、それを解決するための方法。自分自身が納得して、問題に気づくことが取り組み姿勢や意欲を高める。そのために指導者は、子ども達に対し投げかけを行う。 | |
赤十字の基本原則の活用 | 世界の赤十字の行動原則である「基本原則」の内、特に「中立」・「公平」・「奉仕」を応用し問題解決のヒントとする。 | |
「人道の4つの敵」を克服する | 「利己心」「無関心」「認識不足」「想像力の欠如」を克服するために、社会や世界に関心を持ち、知識を深め、事実を知り、他人の気持ちを思いやれる想像力や新しいアイデアを活かすことが必要。 | |
指導方法については、リーダーシップ・トレーニング・センターの特徴的な取り組みもご覧ください。 |
学校現場での子ども達の活動の充実のために、JRCをご活用ください!
よくあるご質問、Q&A
青少年赤十字 全般について
http://www.jrc.or.jp/activity/youth/qa/ (日本赤十字社 本社ホームページへ)
具体的な質問について(東京都内の学校・園の方 向け)
- Q 青少年赤十字に加盟するには、どうすればいいですか。
- A 加盟方法 をご覧ください。
- Q 加盟すると、どんなメリット・デメリットがありますか。
- A 加盟のメリット をご覧ください。
各種資料や研修会の案内が赤十字から届いて煩わしい、
活動が活発ではない時期は心苦しいと感じる、という先生もいらっしゃるようですが、
あくまでも学校の自由裁量で青少年赤十字を活用いただきますので、
デメリットはないと考えています。 - Q 災害学習プログラムとは、どのような内容ですか。
- A これまでの赤十字が災害救護活動において培ってきた経験や技術を、教育現場の防災教育に
お役立ていただくため、学校へ講師を派遣し、目的や対象などご希望に応じ、講義や実技を行っています。
詳しくは、講師を派遣して欲しい をご覧ください。 - Q 教職員向けの研修実施は、可能ですか。
- A 可能です。目的やご希望の内容に沿って対応しております。
内容が未定の場合でも、お気軽にご相談ください。 - Q 他校の実践例を知りたいのですが・・・。
- A 活動事例を見る をご覧ください。
加盟校の活動充実のために、参考となる活動を実践している学校・園を紹介しています。
日本赤十字社本社ホームページでも指導者の先生方に役立つ全国の情報を紹介しています。
http://www.jrc.or.jp/activity/youth/guidance/
また、東京都支部で開催する指導者対象の各種研修会では、他校の先生方との意見交換会を行っています。
是非そちらにもご参加ください。研修会の予定は、新着情報へ掲載していきます。 - Q 助成金はもらえますか。
- A 他校の模範となる加盟校を対象に、「青少年赤十字活動奨励金」を交付しています。
条件や申込方法については、お問合せ下さい。
【お問合せ】
日本赤十字社東京都支部 青少年・ボランティア課 青少年係〒169-8540
新宿区大久保1-2-15
TEL:03-5273-6751 FAX:03-5273-6749
(9:00~17:30 土日祝日を除く)